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2015

German Winter Sky

ドイツの冬空はいつも曇っている。私は毎日頭痛に悩まされながらドイツ留学の自身の課題である抽象絵画について思考していた。しかし、思考すればするほどそれは遠い存在となっていった。

私は毎日、空を見上げながらドイツの鉛色の冬空がドイツの近代哲学や民族性、歴史に与えた影響は大きいだろうと考えていた。

私は毎日制作の前や途中で集中したり考えたりするときにガムを噛む、ある日そのガムを隣に掛かっているキャンバスに貼ってみた。そこには鉛色の空に似た色彩があった。

私はその日からその色彩を毎日、大学のアトリエに行っては集めていった。そして1年後そこには、ドイツの冬の空があった。

日本では、言葉や文章などの意味・内容をよく考えて理解することを咀嚼すると言うが、文字通り私は1年間ドイツで絵画や文化、歴史についてたくさんのことを咀嚼した。

またヨーロッパを旅するなかで、看板や壁などに観光客よって付けられたガムをよく目にしたが、私は留学生の画家としてキャンバスやカントの本にガムを付けていった。


 

 

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German Winter Sky

2015

chewing gum on wood board in frame

55.0×55.0(cm)

Private Collection

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German Winter Sky#2

2015

chewing gum on book of Immanuel Kant in frame

34.5×44.5(cm)

Private Collection